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店長裏話
焼いたやつ・・・ミディアムで? (2001.10.28UP)

ある人がCDの買取で来店してきた。
「CDの買取お願いします」
「はい、いらっしゃいませ」
「焼いたやつでもいいですか?」
「はい??」

最初なんと言ったのかよく聞き取れなくて言っている意味がわからなかった。その人が 「あの・・・、焼いたやつ・・・」 と、こちらが“焼いたやつ”の意味がわからないのかと思って説明しようとしている。今度は“焼いたやつ”がよく聞こえたので、すかさず
「あ、それはダメです」

それでもその人はどういうものか見せたかったのか、カバンからその“焼いたやつ”を何枚か取り出すとカウンターのうえに並べ始めた。CDジャケットもカラーコピーで作ってある。とりあえず中を開いてみると、データが焼き付けられたCD-Rのレーベル面にもちゃんとカラーコピーのラベルが貼り付けられていて、遠目にはオリジナルのCDとかわらないのだが、手にとってみると明らかにコピーものというのがよくわかる。

内心、こんなもん売ろうとしているアンタやばいよと思いつつ
「こんなの買ったらこっちが捕まっちゃいますよ」
と婉曲に断わった。すると、
「え?そうなんですか?」
そいつぁ意外だというような反応だ。自分が犯罪を犯しているとはまったく思っていないようだ。

そのコピーしたCD-Rも売ろうと思ってわざわざ作ったわけではなくて、自分のコレクションとして作ったものがいらなくなったので売りに来たような感じだった。(コピーを作っている段階ですでに犯罪だとは思うが) その人はあまり納得できないような様子で帰っていったが、うしろ姿を「おいおい」といいながら見送ってあげた。(心の中で)

パソコンが普及したことによって、こうして誰でも簡単にコピーが作れてしまうから、音楽業界もその点で厳しい時代なのかもしれない。コピーガードを施してあるCDもあるらしいがあまりお目にかかったことはないのは今までコピーしようとしたことがないから気がついていないだけか。

本当に自分が好きなミュージシャンのCDならちゃんとオリジナルのものを持ちたいが、ただ聴きたいだけならダビングしたもので十分だ。ひと昔前まではダビングするにはカセットテープしかなかったから、いい音で聴きたいときには、やはりCDを手に入れたかった。しかしその後MDが出来、CD-Rが出来と音のクオリティはオリジナルとほとんど変わらずダビングできるようになったので高い金を出してオリジナルCDを買う必要がなくなった。ぼくの場合、古本屋(中古CDも)という商売柄、なおさら自分で買うのは本当に限られた欲しいものだけだ。

これもまもなくCDという形態はなくなってインターネットによる音楽配信の形態が主流となる日がやってくるだろうとは誰もが感じていることでしょう。


THE END

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