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見逃せないよ!よもやま話 |
トラウマ!? (2002.01.16UP) 失礼しちゃうよ、さっきのお客さん。もちろん悪気はないんだろうけど、 「すいませ〜ん。ここって中古のDVDなんて置いてあります?」 「あー、DVDはないです・・・」 「そうでしょうね。せいぜいあってビデオでしょうね」 せいぜいってなんやねん、せいぜいって。 悪気はないとわかっていても一瞬「むっ」としたよ。 むこうは悪気がないからこっちがむっとしてるなんて気がつかなくて 「じゃ、すいませーん」って言って帰っていったよ。 ぼくも大人だから「どうも〜」って愛想よく言ったけど。 そのあとすぐにこうしてカキコしてんだからぼくも大人げないよね。 でも自分でも知らないうちに相手を怒らせてるってことも結構あるんだろうな。カキコにしてもきっとそうだよね。深く考えたら何も言えないし書けなくなっちゃうと思うけど、なるべくなら気をつけたいところだ。 そういえば今書いていて思い出した。 中学生の頃の思い出、先生の言葉に傷つけられたこと。 +++++++++++++++++++++ それは理科の時間だった。 先生が問題を出して、細かい部分は憶えていないけれど、たしか 「日本ではなぜ夏は暑くて冬は寒いのか」 という問題だったと思う。 これは地軸の傾きのせいだろうと思うが、実はいまだにちゃんと自信を持っては答えられない。そのときもそう思っていて、しかもかなり自信があった。地軸の傾きのため、夏は太陽が日本に近くなり暑く、逆に冬は遠ざかるために寒くなる。いまだにそう思うのだが、どうもこれは答えとして正しくないようなのだ。 その問題の答えがわかった人はノートに書いて、ひとりひとり教壇にいる先生のところまで見せにいくというやり方だった。そしてその答えを見ながら先生は「うーん、惜しい。もうちょっと」とか「よし、正解」とか言うのである。 ぼくは自信があったから3番目くらいですぐに見せにいった。 「夏は太陽が日本に近づくので暑く、逆に冬は遠ざかるために寒い」 すると先生は血相を変えて、教室中に響きわたる大きな声で 「夏は太陽が日本に近づくので暑く、逆に冬は遠ざかるために寒い・・・なんだこりゃ!ばかなこといってんじゃないぞ!太陽が近づいたり遠ざかったりするわけないべ。そんなこと小学生だってわかってるべや。あんまりふざけるなや!やりなおし」 教室中大笑いだった。 ぼくはまったくふざけていなかったし、本気でそう思っていた。なんでそんなに怒られるのかもわからなかったし、なんでみんなが笑うのかも理解できなかった。みんなが笑ったのは先生の血相変えた「そんなこと小学生だってわかってるべや」という言い方がおもしろかったのかもしれない。 悔しいやら納得いかないやら、複雑な気持ちで笑いの渦の中をすごすごと席に戻ると、隣の席の友達が切なそうな顔で「気にすんな、おれも前までそう思ってたんだ」と言って慰めてくれた。 そのあとはもう、すっかりやる気もなくなって、おそらく正解も出たと思うのだがまったく憶えていない。それでいまだに「夏は太陽が日本に近づくので暑く、逆に冬は遠ざかるために寒い」が正解だと思っている。もしこれで間違っていないとしたら、なぜあの時あんなに叱られたのだろう。やはり間違っているのか。だとしても、そんなに叱られるほどふざけた答えなのだろうか。いまだにわからない。 その先生は生徒から笑いをとるために生徒をダシに使うことが結構あった。それは生徒間でもたまに話題にされていたことだ。しかしその先生には悪気はないようだし、わりとフランクな先生だったのでどちらかというと人気のある先生だった。この悪気がないというのがなかなか厄介で、それによってその生徒を傷つけているとはほとんど感じていなかったのではないかと思う。しかも感受性ゆたかな中学生が相手だというのに。あの時も、ぼくはただダシに使われただけなのかもしれない。先生のねらいどおりに笑いもとっていたし。 かといって、ぼくもその先生が別に嫌いなわけではなかった。そのときはきっと大嫌いになっただったろうが、もともと悪気がないということもあるので時間がたつと許しているのだ。その証拠に卒業してからその先生のお宅へ遊びに行ったこともある。 だけど、ふとしたきっかけでこうしてそのことを思い出してしまうところをみると、多かれ少なかれトラウマとなって残っているのかもしれない。 【トラウマ(trauma)】⇒心的外傷 個人にとって心理的に大きな打撃を与え,その影響が長く残るような体験 (三省堂新辞林より) THE END |