四方山話目次へ
見逃せないよ!よもやま話

ぼったくり日本道路公団 (2004.8.2UP)


月に一度、ぼくはバンドの練習で、東浦和にあるスタジオまで小岩の自宅から片道約25キロの道のりを400ccのバイクに乗って行きます。柴又街道で金町まで行き、そこから国道298号線に入って川口へと向かいます。

298号は東京外環自動車道路の下を走る道路で、信号も少なく道幅も広いので大変快適なのですが、三郷から松戸方面はまだ工事中(最終的に千葉県の市川まで繋がるらしい)で、この区間は今のところ上り下り1車線ずつをかろうじて開通させているといった状況です。

ぼくが乗る金町付近もこの工事中の区間で、細く未完成の道路を、右側を通れ左側へ行けと言う工事用案内板の指示を見ながら走ります。通り慣れていない者にとっては大変わかりづらいものです。このわかりづらさのせいでぼくはとうとう失敗してしまいました。一般道の298号を走っていたつもりがいつのまにか外環道(有料道路)の入口へ上がってしまったのです。

なんと言うことでしょう。これは間違えたぼくが悪いのでしょうか、いや、あんなにごちゃごちゃとしていては間違えてしまうのも無理はないと思います。もっとデカデカと「ここは外環入口」と看板をかけてもらいたいものです。工事中だからしょうがないかもしれませんが、それならそうで、間違えて上がってきた人は戻れるような配慮が欲しいところです。ぼくは乗りたくもない外環道路をわずか1区間(約5km)強制的に走らされ通行料の400円をとられてしまいました。どうしても納得できません。悔しくてしょうがないです。ぼったくりバーにひっかかったような気分です。(ぼったくりバーに引っかかったことはありませんが。)

そのときの状況をここに詳しく述べたいと思います。みなさんはこれを読んで、やっぱり間違えるほうが馬鹿なんだよと思うでしょうか?共感してもらえる人もいることを祈りつつお話します。

---------------------------------------


ぼくが乗る金町から三郷までの工事中の区間は、両脇にバリケードが立てられた、いかにも仮設と言った感じの細い道路が続いていて、途中に通行禁止の工事中道路や、脇道へ抜けるための誘導車線などへ分かれる二股が何箇所もあります。運転者は本線からそれないように工事用案内板を見ながら走ります。

ここを走るのはこれで3度目でしたが何度通ってもわかりにくいなと思いながらもなんとか順調に進んでいました。しばらく行くとまたその二股が現われて、ぼくは右側へ行きました。じつは本線(298号)は左で右は外環道路の入口へ繋がる道だったのです。左はいかにも工事車両用の誘導車線と言った感じで、右も工事中の仮設道路には違いありませんでしたが左よりも少しまともな道でしたから、前の車につられたというのもあったかもしれませんが、ぼくは迷うことなく右へ行ったのでした。注意して見ていればちゃんと案内板も出ていたのかもしれませんが、気がつかなかったということは気がつかないほどのものだったのです。

少し行くと「料金所はこの先です」という仮設の案内板がいくつも出てきました。あれれ?料金所?ま、まさか・・・嫌な予感がしましたがまだ半信半疑です。この先に298号から料金所への分かれ道があるんだろうな、いや、そうであってくれ。不安な気持ちで一杯になりましたが一方通行のこの道でUターンすることはできません。とりあえず行くしかないだろうと思いそのまま進んでいくとそのうち上り坂になってきたので嫌な予感が現実味を帯びてきました。

「料金所はこの先です」
「料金所はこの先です」
「料金所はこの先です」

案内板は親切にいくつもでてきます。そして坂を登りきると、ジャジャーン!真っ赤なボディの憎いヤツ、料金所の赤いボックスが目に飛び込んできたのでした。辺りを見渡しても298号へ繋がる道はありません。そこはもう三郷西インターだったのです。よっぽど逆走して戻ろうかとも考えましたが、高速道路の入口を逆走して大事故を起こしてしまっているニュースはたまに聞きます。とりあえず料金所まで行ってわけを話そう。そう思ってぼくは仕方なく料金所まで行きました。

「こんばんは、400円です」 料金所のおじさんは愛想よく言います。
「あ、すみません。外環に乗るつもりじゃなかったんですけど、間違って入って来ちゃったんですけど・・・」
「・・・うーん、そう言われてもね。どうすることもできませんよ」
「どっか、戻れる道はないんですか」
「うん、ない。次は草加インターだから」
次は草加インターだから・・・つまり草加まで行くしかないよということだ。

「えーっ、だって乗るつもりでここに来たわけじゃないんですよ、下が工事中でごちゃごちゃしてたから間違って入ってきただけなんですから」
「そんなこと私らに言われたってどうすることもできないよ。ここまで来たらお金払って通ってもらうしかないんだから」
「間違って入ってきただけで金とられるなんて納得できないすよ。戻れないんですか」
「草加まで行ってもらうしかないよ」
「草加まで行くとつまりお金はとられるわけでしょ」
「もちろん。400円頂きます!」
「納得できないよ、買いたくないと言ってるものを無理矢理買わせようとしてるようなもんじゃないですか」
「あんたは間違えたかもしれないけど、間違えた方が悪いんだから」
「間違えた方が悪いって、あんなわかりにくい入口じゃ間違えるよ。間違いやすい表示にしておきながら、ここまで来たら金は取るなんてひどいじゃないですか。もういいよ、Uターンして戻る!」
「あんたそんなことできるわけないでしょ!我々だってそんな誘導できないし」

そうこう言い合ってるうちに後続の車はどんどん詰まってきてクラクションを鳴らし始める車もあります。後続車には申し訳ないなと思いながらもここで折れてしまうのも気持ちの収まりがつきません。そこで先に後続の車を抜けさせようと思ってぼくはバイクを少し前に出すことにしました。

「後ろ詰まってるからちょっと前に出すよ」
そう言ってバイクのクラッチを繋げてちょろっとバイクを動かすや、
「あんた!お金払わないで行こうっての!」
おじさんは血相を変えてわめきました。
「行かないよ!後ろ詰まってるから前に出すだけだって言ってるだろうが。そこで止まって待ってるよ!」

10メートルほど前までバイクを移動させ、ぼくはおじさんが来るのを待ちました。ぼくは別にここをタダで通りたいわけじゃなくて通りたくないのです。通りたくないと言ってるのに通らせてやるから金払えと言われているようでどうしても納得できません。

待っているともう一人のおじさんがやってきてました。
「あんた間違ったかどうか知らないけど、自分の意志でここまで来たわけだから、お金払うの当然でしょうが」
「だから、別に自分の意志で来たわけじゃないよ。入口が紛らわしいから間違えて入っちゃったんだって。途中で気がついたけど途中で戻るわけにいかないもんね。だからわけを話そうと思ってここまできたんじゃない。たかが400円を渋ってるわけじゃなくて理不尽な金は1円だって払いたくないっての」
「それじゃあ草加までただで行かせろってことかい」
「ほかに戻る道がないんじゃそういうことになりますよね」
「そんなことできないよ、ここを通るにはお金がいるんだから」
「だから通りたくないんだって。もういい!Uターンして戻るよ。そうすりゃ文句ないでしょ」
「何言ってんの、そんなことできるわけないでしょ。それにもうあそこでカウントされてるんだから、戻るわけには行かないんだよ」

なんと、こちらが気を利かせてバイクを前に移動させたつもりが、ゲートをくぐってしまったために機械によってカウントされているという。もはやこうなるとおじさんたちとしては何が何でも料金を取らないといけないのでしょう。

「あんたね、劇場だってなんだって、一旦入ったらお金払うのあたりまえでしょ」
「あーん?劇場?劇場は見たくて入ってくるんでしょ、見たくもない人がちょっと足を踏み入れたくらいじゃ金は取られないでしょ」

おじさんも喩えがちょっとおかしかったのに気がついたのかそれ以上そのことについては反論してきませんでしたが、
「よし、わかった。じゃ、ちょっと免許証出して」
「えっ?なんで免許証出さなきゃなんないの?あなた何の権限があってそんなこと言えるわけ?」
「・・・・わかった、じゃ、あんたそこで待ってなさい。いま警察呼ぶから」
「警察?なんで警察呼ぶ必要あんの?」

ぼくは何も悪い事はしていませんから別に恐れることはありませんが、警察が入ってくるとさらに面倒なことになりそうですし、時間もかかりそうです。スタジオではメンバーたちがぼくの到着を待ちくたびれている頃です。

「じゃあもういいよ、警察まで呼ばれると面倒だから、払えばいいんでしょ、払えば」
ぼくは悔しさをかみしめながらおじさんに1000円札を渡しておつりの600円と外環三郷西と書かれた領収書を受けとり、憮然とした顔でその場を立ち去りました。そして3分ほどで草加の出口にたどり着いて298号へ降りたのでした。

一旦足を踏み入れたらタダでは帰さない、オバケ屋敷のような、ぼったくりバーのような、そんなぼったくり日本道路公団に疑問と怒りを感じます。工事中だったとは言え、あんなに紛らわしい入口にしておいて、間違えた人のための迂回路も用意していないとはひどい話です。それともやっぱり間違えた方が悪いのでしょうか。

店先の赤電話を使おうとした人が10円玉を入れてもウンともスンとも言わないのでそこの店主に文句を言うと「誰だい?こんなところに私の貯金箱おいたのは!」というドリフのコントを思い出しました。
だめだこりゃ。

THE END


HOME


Copyright (C) YASUJI / All Rights Reserved.